シャーロック・ホームズの建築

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シャーロック・ホームズ

言わずと知れた名探偵シャーロック・ホームズ。その建築にまつわるストーリー。物語ではあまり触れられていないが、シャーロックの趣味の一つにリフォームががある。
ベーカー街にある彼の部屋は探偵家業が暇になる度にカーペットを敷き直し壁紙の張り替える。それだけにとどまらず床板を張り替えたり壁を壊すなどの改築に精を出し、昼夜を問わず行われる工事の騒音は大家であるハドソン夫人を悩ませてきた。

なんてことは全くない。

ホームズはリフォームどころか掃除に相当する事はした事はないだろうし、壁に拳銃で穴を開けるし、釘を打つのではなくコカインを打っていた。ハドソン夫人を悩ませてきたのは本当だけれど。

建築とは

シャーロック・ホームズは探偵業なので、依頼があって面白いと思えばどこへでも謎を追いかけていく。さまざまな事件にはそれぞれの舞台があるわけだけれど、当然の事ながら当時の時代ならではの建築物が関わってくる。

物語中それぞれの事件現場となる建物については事件のカギともなる事も多いので、かなり詳細に解説されているので、一読者として想像を膨らませながら読み進める事もできるのだけれど、そもそもの舞台が生まれるはるか前であって、TVやラジオはおろか電灯もない社会だし、鉄道はあるものの自動車はなく馬車が使われているし、日本から遠く離れたイギリス社会だということもあって、所々に配置されている挿絵程度では想像には限界があるというものだった。

もちろんそれでも物語を楽しめたのはいうまでもないのだけれど、正直言ってよく分からないけれどホームズが大活躍して面白かったという感想に終わってしまうこともないわけではない。

この本では物語に登場した全ての建物というわけにはいかないけれど、主要な建物について外観やフロアの様子などを専門家の手を経てイラストで見事なまでに再現している。小説なので文字だけで表現されていた窓や扉の風合いは読み手の想像に任せざるを得ず、当時の建築様式に関する知識などない頭で想像しているのでワトスン博士が目にし記載したものとは大きくかけ離れているに違いない。(正確にはコナン・ドイルが意図したものというのだろうけれど、物語の関係上ワトスン博士って事で)。そこに専門家のイラストという強い見方が現れた格好になる。

シャーロック・ホームズの小説では謎も多く残されている。いや、正確には謎というよりも多くの小説から出てきてしまった矛盾とも言える部分なのだけれど、その矛盾を間違いとは捉えずに、何らかの事情や謎として楽しむのも本小説の醍醐味になっている。

そんな事もあり、ベーカー街221Bのホームズの部屋は小説では触れられる事なく、改装されたのではないかとの推測されている。今まで何冊かのホームズ本を見てきたけれど、そんな話は初めて目にした。それも建築という分野から見たからこその発見なのだと思う。

聖地巡礼

小説を読む傍にこの本を置いて、事件の展開を追いつつ参照してみるのも良いけれど、仕方ないとはいえ建物の解説の都合上どうしてもネタバレに近い部分が出てきてしまう。初めて小説を読むのであれば、まずは小説だけを読んだ後に、この本を参照すれば二度楽しめることになると思う。そして再度小説を読めば物語をより深く楽しめるはず。

今流行りのアニメ聖地巡礼のノリで楽しめる本だ。

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