地震

戯言

駅に着くのとほぼ同時だったのだらしい。まだ目的地まではそこそこの距離を残した電車に座っていた。最初は気にならなかったのだけれど、止まっている電車にしては普段とは違う揺れを感じて何気なく窓の外に目をやったところ、電車は一段と大きく揺れ始め、近くの鉄塔、それも電柱といったものではなく鉄板とリベット留めのがっしりしたものが文字通りユサユサと揺れている様子が目に入った。今まで経験したものとは全く規模が違う地震に遭遇したのだと直感した。

程なく車内には地震があった旨と駅は地震に耐えられるとのアナウンスが流れた。緊急時の対応として駅の耐震性をアナウンスするなんてよく考えられているんだなと妙に感心した事を覚えている。

偶然にも駅についていて扉も開いている。閉じ込められるという最悪の事態は免れたのが幸いだった。

おそらく電車はしばらく動かないだろう。動いたとしても通常の仕事は無理で各方面の無事を確認するとか自身の状況を確認するとかで手一杯になることは容易に想像できた。というわけでたどり着けるかどうかわからない会社を目指すよりは電話なりメールなりで対応した方が良いだろうと電車を出て帰路につくことにした。

遠くの方で煙が上がっているのが見える。被災した建物だろう。

自動販売機で水を買うと鞄に詰めた。自宅まで歩くとなると何時間かかるが全く想像もつかない。できることならタクシーを使いたいが、こんな時にタクシーが……つかまった。なんというラッキー。もし何もない普通の日であっても2時間程度はかかると思う。運転手さんには申し訳ないがしばらく付き合ってもらう事にした。

案の定、道路は渋滞している。歩道には公共交通機関が使えずに歩いている人で溢れている。そんな光景を見ているとせめて私と同じ方面なら同乗してもらった方がいいんじゃないかとも思うのだけれど、そもそもそんな人を探すことが難しいというか不可能だろう。

携帯でtwitterを見てみると津波の情報が上がっていた。え、逃げなくてはいけなほどの津波なのか。それまで津波といえば海面が数センチ上昇したとかその程度しか見聞きした事がなかった。堤防や海岸を乗り越えてくるとはいったい何が起きているのか、震源近くでは一体どれだけ被害が出ているというのか。タクシーの運転手は最近購入したという薄型大型テレビを心配していた。

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