「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」

個人事業主として本の翻訳家として成り立っていく過程と最終的に廃業するまでの物語。著者は多くの翻訳をされてきており、丁寧で几帳面とも思われ、とても読みやすくて面白いです。

翻訳して出版されて印税が入ってきてと、なんとなくそんな程度に思っていたけれど、実際のところは出版社の慣習や元著作者に振り回されてしまうという業界の裏話的な内容。

おそらくは昔から綿々と続いている出版業界の慣習の悪い面と、著者のきちんと仕事をして筋を通すという当たり前の事のギャップが招いているのだと思う。

もちろん第三者というか一般社会的には後者の言い分が最もであるのは前者もよく理解しているのはいうまでもない事なので、慣習から甘い汁を吸いつつも悪い側面をいかに表沙汰にしないかと腐心しているという部分もあるのだとは思う。

業界の経営者からしてみれば変に改革すれば利益になるか損失になるかもわからない事だらけなので、今までのやり方で会社が成り立ってきたのだから変えるのは困難であるという考えになるのだろう。でもそれをやらないといけないんじゃないのとは思う。

小説家を目指す人、翻訳家を目指す人、ビジネス書で一攫千金を狙う人、まだ知名度なんてゼロでどんな性格なのかも知れない作家の持ち込み書類からヒットの芽を探したり、巷のベストセラーの二匹目のドジョウを狙った企画を考えたりしつつも、昨今の出版不況で業界も大変なんだろうなとも思う。

数ヶ月とかの期間をかけて原稿を作り、校正や編集に手間暇かけて、それでも最終的には出版が見送られてしまう。それまで頑張ってきた時間はいったい何と釣り合いを取ればいいのか。それが出版社と個人事業主との間であったとしたら。

と、まぁ、色々書いてみたけれど、要は、出版して売れなければ費用の回収は難しい体系なので、甘い言葉で原稿を作らせつつも契約などせず曖昧なまま話を進めてしまう業界。それでも出版できれば諦めもつくが、出版そのものが無くなってしまう場合はどうなってしまうのか。というお話です。

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